海外の取引先に請求するとき
2026年9月30日 更新
海外の取引先への請求で迷うのは、消費税をどうするか、外貨の売上をいくらの円で記録するか、相手国で税金を引かれたらどうするか、の3つです。インボイスに登録していない免税事業者なら、消費税の申告そのものがないので、まずは円への換算と所得税の申告を押さえれば足ります。
消費税:非居住者への仕事は、原則「輸出免税」
課税事業者が、国内に住所・居所のない個人や、国内に主たる事務所のない法人(非居住者)に対して行う役務の提供は、一般的に輸出免税の対象で、消費税が免除されます(国税庁 No.6567)。ただし、次のようなものは除かれます(消費税法施行令17条2項7号)。
- 国内にある物の運送や保管
- 国内での飲食や宿泊
- これらに準じるもので、国内で直接便益を受けるもの
- 国内の不動産の売買・貸借などの代理・媒介(2026年10月1日から)
相手が海外の会社でも、日本に支店などがある場合は、原則として免税になりません(No.6567)。
免税にするには、書類を7年保存
免税を受けるには、自分の名前と住所、取引の日付、仕事の内容、金額、相手の名前と住所が書かれた契約書その他の書類を、7年間保存します(消費税法施行規則5条、国税庁 No.6551)。電子データで保存してもかまいません。
ダウンロード販売やオンラインレッスンは「国外取引」
インターネットを通じて行う役務の提供のうち、電子書籍・音楽・ソフトの配信、クラウドサービス、ネット広告の配信、オンラインの英会話教室などは「電気通信利用役務の提供」とされ、相手の住所が国外なら国外取引として消費税はかかりません(不課税)(国税庁「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税に関する Q&A」)。
一方、国税庁は、ソフトウエアなど著作物の制作を頼まれ、成果物の受け渡しや指示をインターネットで行うだけの取引は、これに当たらないと説明しています(同 Q&A 問2-1)。この考え方からすると、国内で作業したデザインや翻訳をメールで納めるような受託の仕事は、通常の役務の提供として考えることになり、相手が非居住者なら上の輸出免税の対象になると考えられます。
1,000万円の判定に入るかどうかが変わる
輸出免税の売上は、課税事業者になるかどうかを決める「基準期間の課税売上高」に含まれます(消費税法基本通達 1-4-2)。国外取引(不課税)の売上は、国内の取引ではないので含まれません。海外向けの仕事が増えてきたら、どちらに当たるかを整理しておきましょう(売上が1,000万円を超えたら)。
インボイスは?
インボイスの交付義務は、国内の課税取引で、課税事業者から求められたときに生じます。輸出免税や不課税の取引だけなら、交付義務はありません(国税庁 インボイス Q&A 問23)。
外貨の売上は、いくらの円で記録する?
- 原則は、取引の日の電信売買相場の仲値(TTM)で円にします。
- 事業所得などでは、続けて使うことを条件に、売上は取引の日の電信買相場(TTB)でもかまいません。前月末の相場や、1か月以内の平均の相場を続けて使う方法も認められています(所得税基本通達 57の3-2)。
- 請求額が外貨で書かれていても、円で支払われるものは外貨建ての取引に当たりません(同 57の3-1)。
- 消費税の売上の額も、所得税で円にした額を使います。入金のときの為替差損益は、消費税の対価の額には含めません(国税庁 No.6325)。
源泉徴収と、相手国で引かれた税金
日本の報酬の源泉徴収は、居住者に「国内において」報酬を支払う者の義務とされています(所得税法204条)。そのため、日本に拠点のない海外の会社が海外から払う報酬からは、通常、日本の所得税は差し引かれません。海外からの報酬も、日本で確定申告をします。
相手国の決まりで税金を差し引かれた場合は、一定の範囲で日本の所得税から差し引ける「外国税額控除」があります(国税庁 No.1240)。ただし、日本国内で作業した仕事の報酬は、控除の計算で国外の所得に当たらず、差し引けないことがあります。租税条約で決まった率を超えて引かれた分も対象外です。相手国での減免の手続きに使う日本の居住者証明書は、税務署で請求できます(国税庁 No.9210)。個別の判断は税務署や税理士に相談しましょう。
英語の請求書(Invoice)について
英語の請求書の書き方に、日本の法令で決まった形はありません。輸出免税の証明に使うなら、上の「保存する書類」の項目(自分と相手の名前・住所、日付、内容、金額)が分かるようにしておきます。外貨建てのインボイスは外国語・外貨で書けますが、消費税額は円で書くとされています(インボイス Q&A 問68)。海外送金の手数料をどちらが負担するかも、先に決めておきましょう(振込手数料はどちらが負担?)。
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この記事は一般的な説明です。海外との取引の税金は個別の事情で変わるため、税務署や税理士にご確認ください。
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この記事は、pencho(運営:合同会社イマジネイティブ・アンダーバー)が、国税庁などの公開情報をもとにまとめた一般的な説明です。個別の取引の税務の判断は、税務署や税理士にご確認ください。